松岡正剛の千夜千冊

『化石』井尻正二

『化石』井尻正二 今回は井尻正二の『化石』。化石には興味ないんだよな。とりあえず、要約・引用。 化石は普通、トレース・フォシル(生痕化石)、コープロライト(糞石)、ケミカル・フォシル(化学化石)、ボディ・フォシル(体化石)に大別できる。「化…

『日本文学史』小西甚一

『日本文学史』小西甚一 今回は小西甚一『日本文学史』。講談社学術文庫から出ているので手に入れやすそうだ。いつものように要約・引用。 小西甚一の『日本文学史』は、ドナルド・キーン、大岡信、熊倉功夫らに評価されている。松岡氏はこの本を スコープが…

『北原白秋集』北原白秋

『北原白秋集』北原白秋 今回は『北原白秋集』。千冊到達から1年ということで、思い入れの強い北原白秋を選んだようです。松岡氏の白秋遍歴がメインに綴られていること、文章がかなり長いことから、気になった部分をピックアップするだけにします。 ぼくの年…

『アメリカン・マインドの終焉』アラン・ブルーム

『アメリカン・マインドの終焉』アラン・ブルーム 今回はアラン・ブルームの『アメリカン・マインドの終焉』を紹介しています。これがかなり興味深い。ってなわけで引用・要約。 アメリカには「コンフォーミズム」、つまり寛大が生んだ同調主義がある。これ…

『後水尾院』熊倉功夫

『後水尾院』熊倉功夫 今回は熊倉功夫の『後水尾院』。後水尾院とはどんな人物で、どのような時代に生きたのかを松岡氏は紹介してます。それではいつものように要約・引用を。 1624年に始まった寛永年間は20年に及んだ。林屋辰三郎はこの頃の文化を「…

『近代画家論』ジョン・ラスキン

『近代画家論』ジョン・ラスキン 久々に更新されましたね。いつ更新されるのかと首を長くして待っていましたよ。今回取り上げたのはジョン・ラスキン『近代絵画論』。いつものように、要約・引用してみます。 昔、東銀座に「東京ラスキン協会」というレトロ…

『AKIRA』大友克洋

『AKIRA』大友克洋 昨日『AKIRA』を観た後、松岡氏が第800夜で『AKIRA』について論じていたのを思い出し、ほぼ1年ぶりに読み直してみた。当然松岡氏が論じているのは原作の漫画の方ね。松岡氏は7つの観点から『AKIRA』の魅力を分析している。 1つ目は…

『鉱物学』森本信男・砂川一郎・都築秋穂

『鉱物学』森本信男・砂川一郎・都築秋穂 こ、鉱物学ですか…松岡氏は本当に守備範囲が広い。今回は『鉱物学』の感想というより、松岡氏が鉱物についての思い入れを語っている感じです。 要約はせずに、私が興味を持った箇所を拾い出してみましょ。 鉱物学で…

『生命とは何か』エルヴィン・シュレディンガー

『生命とは何か』エルヴィン・シュレディンガー 今回は、「波動力学」や「シュレディンガーの猫」で有名な物理学者シュレディンガーの著書『生命とは何か』。私が知ってるのは名前だけだな。以下、いつものように引用・要約。 物質というものは基本的に、エ…

『暗黙知の次元』マイケル・ポランニー

『暗黙知の次元』マイケル・ポランニー 今回はマイケル・ポランニーの『暗黙知の次元』。文庫本だから買いやすいな。以下、引用・要約。 発見への手続きには予想のつかなかったことや検証しにくいことが交じっていることも少なくない。マイケル・ポランニー…

『東洋的無』久松真一

『東洋的無』久松真一 今回は久松真一の『東洋的無』。私はこの方を存じ上げません。って、毎回のように書いてる…まぁ、よく知ってる人やよく知ってる思想ばかり取り上げられるようなら、逐一チェックしてませんし。以下引用・要約。 久松真一は、西田幾多郎…

『聖少女』倉橋由美子

『聖少女』倉橋由美子 今回は倉橋由美子の『聖少女』。倉橋由美子の小説も、以前から読もう読もうと思いつつ読んでない。『パルタイ』『スミヤキストQの冒険』『大人のための残酷童話』は読んでおきたいですね。以下、要約を。 この作品はさっきも書いたよ…

『〈意〉の文化と〈情〉の文化』王敏

『〈意〉の文化と〈情〉の文化』王敏 本書は中国側から見た日中論です。経済については上手くやっていこうとするのだが、政治感情は相容れない「経熱政冷」状態の日中関係を、如何にして発展させていくか。この問題を、比較的若いジャパノロジストたちが綴っ…

『秀吉の野望と誤算』笠谷和比古・黒田慶一

『秀吉の野望と誤算』笠谷和比古・黒田慶一 久々に日本史がテーマですね。歴史は比較的好きなんですけど、大学を世界史で受験したために日本史の知識は少なめです*1。『秀吉の野望と誤算』は、秀吉による朝鮮出兵とその後の関ヶ原の繋がりについて書かれた本…

『日本の現代美術』菅原教夫

『日本の現代美術』菅原教夫 菅原教夫は、読売新聞文化部で美術を担当していた。この『日本の現代美術』には、彼が取材した24人のアーティストが取り上げられている。 以下、引用を織り交ぜつつ要約。 日本の現代美術を見る際、そこに日本画の特質や前衛書…

『日本の前衛絵画』中村義一

『日本の前衛絵画』中村義一 今回は『日本の前衛絵画』。近現代日本の前衛芸術、とくにシュルレアリスムの動向を、北脇昇に焦点を絞って書いた本。シュルレアリスムはかつてほんのり学んだので、いつもよりは理解できたよ。以下要約。 日本のシュルレアリス…

『造形思考』パウル・クレー

『造形思考』パウル・クレー 今回はパウル・クレーの『造形思考』。恥ずかしながら、この方を存じ上げませんでした。世の中、知らないことがイッパイね。恥掻いてばかりね。 以下、分からないなりに精一杯試みた要約。 「芸術とは目に見えるものを再現するこ…

『ベルニーニ』石鍋真澄

『ベルニーニ』石鍋真澄 今回は、石川真澄の『ベルニーニ』。本の紹介と言うよりは、バロックとベルニーニの解説ですね。以下、一部を要約。 バロックは、20世紀半ば過ぎまで正当な評価を受けてこなかった。悪趣味・奇矯・風変わりといった形容を伴うこと…

『音、沈黙と測りあえるほどに』武満徹

『音、沈黙と測りあえるほどに』武満徹 今回は武満徹のエッセイ。武満徹に関しては、名前以外ほとんど知らない。故にコメントもしづらいのだが、気になったものを一つ。 作曲というのは「無」からつくるのではなくて、すでにいろいろのところで鳴ったり止ん…

『古楽とは何か』ニコラウス・アーノンクール

『古楽とは何か』ニコラウス・アーノンクール 『古楽とは何か』は、古代と近代の音楽の違いを説明した本。以下、要点を。 音楽において、古典時代と近代では明確な断絶がある。それは「音による言語」が失われたことである。言い換えると、「音楽」と「言語…

『絵画の自意識』ヴィクトール・ストイキツァ

『絵画の自意識』ヴィクトール・ストイキツァ 参ったなぁ。建築の次は絵画か。手を出してない分野が続くなぁ。第一、「タブロー」の意味すら知らなかった。そして、書いてあることもよく分からぬ… メタ絵画とは聞きなれないが、ようするにバロック絵画はルネ…

『伽藍が白かったとき』ル・コルビュジエ

『伽藍が白かったとき』ル・コルビュジエ 松岡さん、月水金にしっかり更新するなあ… 今回はル・コルビュジエの『伽藍が白かったとき』。建築方面の知識はほとんどないのだが、コルビュジエ好きな友人のおかげで、コルビュジエの存在と偉大さは知っていた。 …

『構成的権力』アントニオ・ネグリ

『構成的権力』アントニオ・ネグリ ネグリと言えばマイケル・ハートと『帝国』を書いた人であり、その『帝国』は近年で最も重要な書物のうちの一つである。 まあ、それ以上のことを知らなかったので、ここに書かれたネグリの「戦歴」には驚いた。 父親はイタ…

『恐怖の権力』ジュリア・クリステヴァ

『恐怖の権力』ジュリア・クリステヴァ クリステヴァは、ブルガリアに生まれフランスで活躍している思想家。テクスト理論やフェミニズムのイメージがあるが、詳しくは知らなかった。「間テクスト性」(インターテクスチュアリティ)という概念を提示したのは…

『カリガリからヒトラーへ』ジークフリート・クラカウアー

松岡正剛の千夜千冊『カリガリからヒトラーへ』ジークフリート・クラカウアー 『カリガリからヒトラーへ』は、『カリガリ博士』をはじめとするドイツ映画について書かれた本らしい。『カリガリ博士』とは、1919年に封切られたドイツ映画である。この映画…

『母権制』ヨハン・ヤコプ・バハオーフェン

『母権制』ヨハン・ヤコプ・バハオーフェン 今回はバッハオーフェンの『母権制』。 バッハオーフェンは多くの肩書きを持ち、後の人々に多大な影響を及ぼしたらしい…まあ、よく知らんのですよ、私。 彼は旅行先の装飾絵画を見て、まだ誰も想定することのなか…

『清沢満之』藤田正勝・安富信哉

松岡正剛の千夜千冊『清沢満之』藤田正勝・安富信哉 清沢満之という名を初めて知った。 廃仏毀釈によって窮地に立たされた明治仏教。大混乱の後、仏教は近代化の道を歩み始める。この流れの中で、「精神主義」と「消極主義」を標榜した清沢が登場する。 この…

『西洋の没落』1・2オスヴァルト・シュペングラー

松岡正剛の千夜千冊『西洋の没落』1・2オスヴァルト・シュペングラー 今回はシュペングラーの『西洋の没落』。著者名もタイトルも「聞いたことあったっけか」と言うレベル。 ゲバラも愛読した問題作・話題作。過去の歴史を分析し、そこに見られる「歴史論…

『ツァラトストラかく語りき』フリードリッヒ・ニーチェ

松岡正剛の千夜千冊『ツァラトストラかく語りき』フリードリッヒ・ニーチェ この一年で知識を幅広く(その代わり浅く)吸収できたのは、このサイトのおかげでもある。 その本を読まなくても、大体概略がつかめてしまうのだ。あくまでもここを導入として、そ…