『アメリカン・マインドの終焉』アラン・ブルーム

『アメリカン・マインドの終焉』アラン・ブルーム
今回はアラン・ブルームの『アメリカン・マインドの終焉』を紹介しています。これがかなり興味深い。ってなわけで引用・要約。
アメリカには「コンフォーミズム」、つまり寛大が生んだ同調主義がある。これがアメリカ独特の相対主義を作った。アメリカではこの相対主義を子供の頃から叩き込み、どんなライフスタイルでも作ることが出来るという極端な個人的相対主義を作った。これにより、「われわれには他者はいらない」という信条が生まれた。
これは「ドイツ・コネクション」に原因がある。

「ドイツ・コネクション」とは、カント、ヘーゲルマルクスニーチェフロイトハイデガーウェーバーらのドイツ思想が、アメリカでアメリカ流に変容したスタイルのことをいう

アメリカ人はドイツ思想から「思想」を除去し、「スタイル」としてアメリカナイズした。アメリカはそれ以来、どんなことも「スタイル」にするようになった。
アメリカはライフスタイルの国であり、それは「すべての価値はライフスタイルに帰着する」という考え方を意味する。

価値がライフスタイルにあるとは、思想の価値より、会社の価値より、平和の価値より、ライフスタイルのほうがずっとすばらしい価値をあらわしているということだ。つまりアメリカは、すべての価値に勝る価値として、「アメリカというライフスタイル」を選んだということなのである。

アメリカでは、マックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』が定着した。勤勉と倫理をモットーとするプロテスタンティズムは、資本主義とピッタリ重なった。しかし、制約と禁欲が伴うライフスタイルには苦痛も伴うため、サリンジャー以降の世代は「資本主義OK、プロテスタンティズムNO」となってくる。そこで

ニーチェは「神の死」と「権力」と「ニヒリズム」を提供してくれた。フロイトは理性に代わる「心理」と禁欲に代わる「欲望」を正当化してくれた

とドイツ思想を解釈した。
日本もまた「ライフスタイル絶賛」になっている。

個人主義」「アイデンティティ」「自分さがし」を筆頭に、「私の城」「こだわり」「おたく」「オレ流」「自分らしさ」「マイブーム」なんてところが光を浴びて跋扈した。これらは、アメリカですらすでに"ミーイズム"として批判を浴びせられたものであるのだが、日本ではまだまだ新鮮なままなのである。

色々な思想が詰め込まれていますけど、今回はメジャーな方が多かっただけに流れが把握しやすく、分かりやすかったですね。
「すべての価値はライフスタイルに帰着する」ですか…この本は近いうちに読みましょう。教育者の本だから、祖父の蔵書を探せば出てくるかもしれません。