『日本の前衛絵画』中村義一

『日本の前衛絵画』中村義一
今回は『日本の前衛絵画』。近現代日本の前衛芸術、とくにシュルレアリスムの動向を、北脇昇に焦点を絞って書いた本。シュルレアリスムはかつてほんのり学んだので、いつもよりは理解できたよ。以下要約。
日本のシュルレアリスムは、詩人の活動が先行していた。北園克衛西脇順三郎瀧口修造らが日本にブルトンなどを紹介していった。しかし、彼らはヨーロッパでアンドレ・ブルトンが果たしたような役割を担う気はなかった。一方美術家たちは、シュルレアリスムを消化することも乗り越えることも出来なかった。リアリズムを十分体験していなかった日本がシュルレアリスムを受け入れるには、無理があったのである。
北脇はそのような中、苦闘・実験・思索を続けたのである。北脇は中井正一の美学の影響を受けた。中井は「委員会の論理」を標榜し、機械の美学を持ち出していた。ここらへんは、さっぱり分からん。中井正一の『美学入門』が手元にあるので、読んでおかないとな…
松岡氏のページに、北脇の作品が何枚か載せられている。『独活』『空港』「観相学シリーズ」には目を奪われます。
美学入門 (朝日選書 (32))