『近代画家論』ジョン・ラスキン

『近代画家論』ジョン・ラスキン
久々に更新されましたね。いつ更新されるのかと首を長くして待っていましたよ。今回取り上げたのはジョン・ラスキン『近代絵画論』。いつものように、要約・引用してみます。
昔、東銀座に「東京ラスキン協会」というレトロな建物が立っていた。昭和45年頃、松岡氏はそこである初老の紳士にこう言われた。

ワーズワースプルーストも、トルストイガンジーも、みんなラスキンに学んで「透徹した精神をもつ」ということを学んだんです。「社会をよくする」という思想を教わったのです。いま、いったい誰が社会のために価値を作り出しているのでしょう?

ラスキンの思想は、日本やイギリスでは忘れら去られていた。それはラスキンの思想が古くなったからではなく、「イギリス人も日本人も資本主義市場の過熱に屈した」からである。
1838年ヴィクトリア女王が即位し、1840年アヘン戦争が起きた。ラスキンはこの時代のイギリスに腹を立てていた。様々な開発・発明が試みられ、賑やかなほど商品が街に出始めていたのだが、

ラスキンから見ればその大半は市場の欲望のために作られたものであり、産業高揚のためのものばかりだった。それでは何も時代を超えるものは出てこない。

ラスキンは「価値」とは何か、「価値」の源泉は何かを考えていた。マルクスにとってそれらは「労働」「資本」であり、ラスキンにとっては「芸術」「創作」であった。しかし、ラスキンの目から見て「価値」を作り出している芸術作品は少なかった。そのなかでターナーこそ「価値」を作り出しているにもかかわらず、世間はそれに気づかず酷評していた。
ラスキン倫理学は読んでみたいですね。トルストイプルーストガンジーがそこから学んだと言うことですから。