『北原白秋集』北原白秋

『北原白秋集』北原白秋
今回は『北原白秋集』。千冊到達から1年ということで、思い入れの強い北原白秋を選んだようです。松岡氏の白秋遍歴がメインに綴られていること、文章がかなり長いことから、気になった部分をピックアップするだけにします。

ぼくの年代では、北原白秋はまずもって“童謡をたくさんつくったおじさん”だった。

と言うわけで、童謡の一説が幾つか列挙されています。
「待ちぼうけ、待ちぼうけ、ある日せっせと野良かせぎ」「からたちの花が咲いたよ、白い白い花が咲いたよ」「雪のふる夜はたのしいペチカ。ペチカ燃えろよ、お話しましょ」「この道はいつか来た道、ああそうだよ、あかしやの花が咲いてる」「海は荒海、向こうは佐渡よ」「揺籃のうたをカナリヤが歌う、ねんねこ、ねんねこ、ねんねこ、よ」
これらの童謡は北原白秋が作ったんですね。全然知りませんでしたよ。私が幼い頃はこれらを歌うことはありませんでしたが、聞いたことはあります。
松岡氏が幼い頃『雨』を歌ったときのエピソードがグッと来ます。

雨がふります、雨がふる。
昼もふるふる、夜もふる。
雨がふります、雨がふる。

の部分に来た時、一緒に歌っていたいとこの眞知子ちゃんが泣き崩れてしまったそうです。幼い女の子を泣かせる詞…
白秋の人生もインパクトあります。

28歳の白秋は前年に原宿に転居したときに隣家の人妻松下俊子と知りあい、その後に熱烈な恋愛に落ちている。ここまでならよくあることだが、運悪くというのか、白秋は俊子の夫に姦通罪で告訴され、市ケ谷の未決監に放りこまれてしまったのだ。

姦通罪!!そうだよ、昔は姦通罪ってのがあったのだよ…
1ヶ月後に無罪放免となった白秋は、死を決意して三浦海岸を訪れる。しかし死ねない。その後、夫と離別した俊子と結婚する。絶海の孤島・父島で暮らし始めるのだが、耐えられなくなった俊子は東京に帰る。と、俊子さんよ…

このあと経済的にも復活し、白秋は平塚雷鳥のもとに身をよせていた大分の江口章子と結婚する。それで、やっと安定を得ると家を建てるのだが、その地鎮祭の夜に章子に逃げられ、

何故みんな逃げるのよ…白秋との生活は耐え難いものなのか、それとも白秋に女性を見る目がないのか…