『日本の現代美術』菅原教夫

『日本の現代美術』菅原教夫
菅原教夫は、読売新聞文化部で美術を担当していた。この『日本の現代美術』には、彼が取材した24人のアーティストが取り上げられている。
以下、引用を織り交ぜつつ要約。
日本の現代美術を見る際、そこに日本画の特質や前衛書道の影響を読み取ってしまうことが多い。和食と洋食、邦画と洋画、和室と洋室、和式トイレと洋式トイレといった「和洋の区別の感覚」が現代美術にも浸透しているのである。しかし、そのような民族性ばかりを追っていても、現代美術は理解できない。

いったい日本の現代美術に何を見ればいいのか。このことはいっこうに確立していない議論のようであるが、ぼくが知るかぎりはそんな全貌を括れるような特徴はないようにも思われる。そこには現代美術という同時代の動向があるばかりなのである。

それでも敢えて日本の現代美術に共通の特徴を述べるとすると、それは「反芸術性」ということになる。しかし、ここには2つの問題がある。
マルセル・デュシャンが『泉』で、ロバート・ラウシェンバーグが『White Painting』で「反芸術」を標榜したのは、欧米の芸術の歴史に反逆する意味があった。

その反逆の結果だけを日本が踏襲しても、はたしてそれで反芸術なのかという問題だ。

二つ目。「反芸術」はあったとしても「反哲学」はあるのか、という点である。

思想のレベルでみればたいしたことはメッセージしていない。どちらかというと、日本のアーティストは「生きる」とか「実感する」とか、あるいは「社会とのかかわり」とか「自然との対話」といった、とくにアーティストでなくとも感じていることを重視する。

ということらしい…
後半は、24人の作品を少しずつ紹介している。恥ずかしながら初めて見る名前ばかりでした…