シンデレラと破滅的な恋

シンデレラは悲恋招く? 読み過ぎにご用心

「シンデレラ」を読み過ぎた女の子は将来、破滅的な恋から逃れられない恐れがあります−。23日付の英紙ガーディアンなどによると、英ダービー大学の研究者が、女性へのインタビューを基にまとめたこんな研究結果が英国で議論を呼んでいる。
共同通信

…というニュースを見つけたので、そのガーディアンを読んでみることにした。
英字新聞の翻訳って、「報道英語」の授業を思い出すね。
ガーディアンの紹介を一つの目玉にしようかな。
Cinderella said to be a poor role model for later life
スーザン・ダーカー・スミスというダービー大学の心理学者が調査した。67人の虐待を経験した女性にインタビューしたところ、61人は忍耐・同情・愛でパートナーを変えられると信じて虐待に耐えていた。
さらに、虐待にあったことのない女性と比較調査してみた。虐待された女性は、シンデレラ、ラプンツェル、『美女と野獣』の美女など、おとぎ話の従順な女性登場人物に共感しやすい。それらの話は、強い王子やヒーローによって後に助け出される類のものである。
スーザンによれば、子どもの頃に歪んだ愛を強調する物語に晒されすぎたから、ということらしい。だから、読み聞かせる物語を選ぶ必要がある。冒険好きな女性主人公や、頭がよくて独立した女性主人公が出てくる話にしましょう、と。
グリム童話の『ラプンツェル』を例にとった主張が面白いよ。『ラプンツェル』は、高い塔の上に閉じ込められた少女が白馬の王子に助け出される話。その王子はドアを壊して助けるのだが、スーザン先生はこう言う。
「why she did not break the door down herself」(なぜ彼女は自分でドアを壊さないの)
「従順な女性」の物語が、従順な女性を生む。フェミニズム批評ですかね。
スーザン先生もサンプルの量が少ないことを認めている。ただ、学会で議論するには十分な価値があるだろう、と。
児童文学者のキム・レイノルズは、こう言っている。

"We have heard these arguments about fairytales since the 1970s, particularly from feminist critics. It is far too simplistic to say that girls who grow up reading fairytales with submissive characters will themselves become submissive."

(私たちはこれらの議論を、1970年代以降聞き続けてきた。とくにフェミニズム批評から。あまりにも単純すぎて、従順な女性人物の登場する物語を読んだ少女が従順になるとは言えない)
まあ、面白いテーマだと思うので、研究が進んでくれることを祈ります。