絲山秋子『沖で待つ』

勤労感謝の日」と芥川賞受賞作の「沖で待つ」を所収。「沖で待つ」は『文學界』で読んで1月7日の日記に感想を書いているので、そちらをご覧あれ。
そんなわけで「勤労感謝の日」の感想をメインで。とある事情で仕事を辞め、現在無職の36歳・鳥飼恭子はお見合いをすることになった。そのお見合い相手は性格サイアク・顔もイマイチな38歳の商社マン。相手の無神経さに腹を立てた恭子は、お見合いの席を中座して渋谷に向かう…
36歳にして未婚、36歳にして無職。そんな恭子の焦り、苛立ち、閉塞感が作品全体に漂っている。
お見合い相手の野辺山は自分の仕事を自慢してばかりで、挙句の果てに恭子を負け犬呼ばわりする。かつての後輩・水谷は、転職先で充実し、4歳年下のかわいい彼氏がいる。母に心配をかけてばかりの自分、より所のない自分。
そんな恭子にとって救いとなるのが近所の飲み屋。客のほとんど入らない飲み屋のマスターは、「やれるとこまでやるだけだね、それでだめだったら、そのときさ」という潔さを見せる。
ちょっと地味かな…

沖で待つ

沖で待つ