筒井康隆『天狗の落し文』

356篇が収められた短編集。短いものは2行、長いものでも4ページというわけで、スラスラ読める。「短編」というよりもアイディアの「断片」と呼んだ方が相応しいかもしれん。閃きをメモしておいたノート、という感じ。こうした「断片」をもとにアイディアを膨らませ、ショートショート・短編・長編・シナリオへと発展させていくのだろう。
しかし、たった2行でも腹を抱えるほど面白いのが筒井康隆の凄いところ。あまり陳腐な表現はしたくないのだが、まさに天才的な発想力である。ジャンルも様々で、文章作法やら性的な話やらSFチックな話やらグロい話やら、筒井先生の幅の広さを改めて感じるね。
「全作、盗作自由」らしいので、趣味で小説を書く人や作家を目指す人は、これらのアイディアを使って書いてみるといいかもね。

天狗の落し文 (新潮文庫)

天狗の落し文 (新潮文庫)