江原由美子・金井淑子『フェミニズム』

広く浅く書かれているし、紹介されている参考文献も多いので、入門書としては最適だと思われる。でも、ちょいと刺激が足りなかったかな。まぁ、今後バトラー、セジウィッククリステヴァスピヴァクドウォーキン、上野あたりを読んでいきますかね。
仏教が女性蔑視的な思想を持ち合わせているのには驚いた。何だか意外だったんだよね。一口に仏教と言っても色々あるだろうが、とりあえず大乗仏教は以下のような思想を持っている。

女性は女身のままでは仏陀になれないので男性に「変身」し、男性に生まれ変わらねばならないと説く。女性に生まれた者は女身を嫌悪し捨てなければならない。

また、「血穢観・女性不浄観」といったものもある。

インドの仏教文献では男性の修行の妨げになるという理由から、悪臭や虫などの表現を用いて女性の不浄を説くものはあった。しかし血盆経によって、血穢観に基づき、女性の存在を否定的に規定する考え方が定着した。出産のための悪露によって大地や河川の水が汚染され、それによって神仏を汚すので、女性は罪を犯しているとする。日本の室町期の経典では産穢だけであったが、後に経血までも拡大して不浄とすることが一般的になり、さらに江戸後期には経穢を理由にすべての女性が不浄視されるに至った。

仏教を始めとする東洋思想って、「自然との調和」のイメージが強い。だから男女の別なく包み込んでくれそうな印象を持っていたのだが、女性蔑視・女性排除も甚だしい。このような女性観の存在はまったく知らなかった。それは私が土着文化や宗教に縁遠い暮らしを送ってきたからだろうか。まぁ、大っぴらに主張しづらい話題ではあるだろうけど。
ちなみに私のフェミニズムに対する関心は、次の3つが動機になっている。
1.一般的・常識的な物の見方を突き崩していく、理論の面白さ。
2.ジェンダーフリー教育、痴漢・強姦などの性犯罪、家族のあり方、少子化、性別役割分業など、時事問題に対して如何なるスタンスを取るのかの参考。
3.女性や恋愛について考えるための材料。
ってな感じかな。

フェミニズム (ワードマップ)

フェミニズム (ワードマップ)