丸山真男と鶴見俊輔の対話

今朝の朝日新聞文化面から。20年前に行われた丸山真男鶴見俊輔らとの対話が、『自由について―七つの問答』として刊行される。記事ではその内容が紹介されているので、少し長めに引用させていただく。

「なぜ日本では少数者の権利というものが尊重されないか。なぜ満場一致になるか」
〜中略〜
「人が違えば意見が違うのは当然として出発するか、それとも、本来なら一致すべきなのに残念ながら分かれてると考えるかで、ぜんぜん制度の考え方が違ってくる」「本来大事なのは『紛争の統合』なんです。ただ、統合、統合で行くのでは、日本は非常に危険な国です。『和』の名において、実は強制が行われる」「つまり挙国一致。やっぱり、これを破っていかないといけない。そうでなきゃ、ぜったい、ぼくはデモクラシーは根づかないと思う」

丸山氏が『紛争の統合』と言う時の「紛争」とは、「意見の違いから生じる争い」のことである。「日本で今いちばん大事なことはね、紛争というものをそれ自体悪とみなさないようにすることです」と述べている。
少数者の権利を尊重すること。それぞれが意見を主張し、意見を戦わせること。そういった基本的なことを述べているが、これが根づいてない現状がある。故にこの対話集を刊行するのだろう。「『和』の名において、実は強制が行われる」という表現が気に入った。
私自身、「争うより穏便に済ませた方が得策だ」とか「別の方法で説得しよう」と考えることが多い。それは「戦略的」なつもりだったが、何と言うか、やや「小賢し過ぎ」かなとも思う。意見を戦わすことが出来ないのは「自信のなさ」の現れであり、それはつまり「知識のなさ」「経験のなさ」を物語っていると思う。