CIAによる拷問の海外委託

CIAによる拷問の海外委託
ル・モンドの記事です。
さすがにフランス語の翻訳は出来ませんので、日本語に訳された文章を読みました。まあ、フランス語にも興味があるので、いずれ手をつけたいですね。
アメリカによる「特別引き渡し」について書かれた記事である。
ここに書かれている「特別引き渡し」とは、CIAが海外で容疑者を拘束し、主に民間機を使ってマグレブ・中東諸国へ不法移送して、拷問を行わせるシステムのことである。
拷問自体が不法行為であり、拷問のために移送することも認められていない。国連拷問禁止条約には「いかなる締約国も、個人を、その者が拷問を受ける危険があると信ずるに足りる実質的な理由がある国へ追放し、送還し、または引き渡してはならない」とある。
また、身に覚えのない容疑者も多いようだ。「疑わしい」だけで拘束され、監禁・拷問といった目に遭った例が挙げられている。「テロとの戦い」という名目で、人権が踏みにじられている。
元CIAのマイケル・ショワーは次のように述べている。

「問題の根本はこういうことだ。アメリカ人が犠牲者となりうる事件に関与したとか、これから関与するに違いないという確証のある人間が街をぶらつかないようにするのは、意味のある活動なのだ」

ブッシュ政権に近いシンクタンクであるアメリカン・エンタープライズ研究所の副所長ダニエル・プレトカはこう言う。

「戦時には、まっとうな人のほとんどが絶対に許せないと思うようなやり方で事を運ぶことが必要な場合もある」

原理としては、イラク戦争と同じですね。「疑わしい」とか「可能性がある」といった理由で、過剰防衛を肯定している。私はこれらの主張を受け入れられない。いつ自分が、国家権力に疑われる側に回るか分からないのだから。
元CIAのロバート・ベアのコメントで締めよう。

9・11はジュネーヴ条約をお払い箱にする口実だった。この日は西洋で我々が知っていたような法の優位が終わる日となった。