奥田英朗『イン・ザ・プール』

友人に「面白いよ」と薦められたので、さっそく読んでみた。
奥田英朗を読むのはじつに久しぶりだ。最後に読んだのが『邪魔』だから、5年ぶりかな?そういえば2004年に直木賞を受賞してたんだよね。俺が読んだ『最悪』と『邪魔』では…って、内容を覚えてないわ。確認するのもメンドイ。まあ、本書の内容へ移りますか。
伊良部総合病院の精神科医・伊良部一郎はとても医者とは思えない人間で、変人中の変人である。マザコン、注射フェチ、子供っぽい、人の目を気にしない‥とにかく常識を外れた言動を繰り広げるので、診療に来た患者も最初は「他の病院を当たろう」と不信感を持つ。ところがその「気が済むまでやれば?実害はないわけだから」という診療によって、患者の方も「変な医者だが、この先生にしか話せない」と信頼を寄せるようになる。
本書には5編が収録されていて、それぞれの患者はプール依存症、陰茎強直症、被害妄想、ケータイ依存症、強迫神経症となっている。俺自身も神経質で小心者でクヨクヨ悩みやすくて自意識過剰なところがあるから、5人の患者の気持ちがよく分かるんだよな。と言うより、5例とも身に覚えがある。

イン・ザ・プール (文春文庫)

イン・ザ・プール (文春文庫)