『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』全13話

スカパーで鑑賞。
1年戦争終結から3年後の宇宙世紀0083年、地球連邦軍オーストラリア・トリトン基地にガンダムの試作機が2機運び込まれた。この情報を察知していたジオンの残党が基地を襲撃し、核弾頭を搭載した2号機を強奪する。強奪の中心となっていたのは、1年戦争時に「ソロモンの悪夢」と恐れられたアナベル・ガトー少佐だった。これを阻止するため、テストパイロットのコウ・ウラキが1号機に乗り追撃する。実戦経験のないコウにはガトーを止めることが出来ず、2号機は奪い去られる。
その後コウたちは強襲揚陸艦アルビオンで、デラーズ・フリートの「星の屑作戦」を阻止するよう命じられる。いったい「星の屑作戦」とは如何なる作戦なのか。そしてコウはガトーを倒すことが出来るのか…
1年戦争グリプス戦役の間に位置するエピソードである。中盤にはハマーン・カーンがチラッと顔を見せ、「寒い。ここにあと何年…」と呟く。終盤にはジャミトフ・ハイマンバスク・オムが登場し、ティターンズ結成の経緯がわかる。ファーストガンダムZガンダムのファンである私としては、かなり楽しめた。
ニュータイプも強化人間も出てこず、たまたま居合わせた少年がエースパイロットになるようなこともない。全体的にリアリティを重視した感じ。この作品も敵・味方という二元論的な割り切りをせず、武器商人アナハイムエレクトロニクス社やジオンでも虐げられたシーマ隊など、構図が錯綜している。
デラーズ・フリートは志の高い集団であり、とくにガトーは軍人の鑑のようなタイプである。高潔で男っぽく、セリフの言い回しはシャア以上に堅い。人気があるのも頷ける。
私にとって最も印象に残った人物は、アナハイムエレクトロニクス社のエンジニアでありガンダム1号機・2号機の開発担当であるニナ・パープルトン。美人のニナは1号機の開発担当としてアルビオンに乗り込み、コウと恋仲になる。頭が良く、気が強く、典型的なツンデレ。彼女は序盤、コウの乗るガンダム1号機が大破した際に「いやあっ!私のガンダムが!!」と叫び、「男よりガンダム」という本性を発揮する。中盤にはウジウジして映画に誘ってこないコウに「意気地なし!」と怒りをぶつける。最終話では昔付き合っていたガトーと現在の恋人コウの狭間に立ち、結局コウに銃を向ける。序盤の「ガンダム愛」ぶりはさて置き、中盤から終盤にかけての揺れ動き方は、なかなかリアルだった気がする。