花村萬月『汀にて』

王国記シリーズの第三弾。教子視点の「汀にて」と、赤羽視点の「月の光」が収められている。
「汀にて」は、朧と教子が修道院から逃亡し、長崎の五島列島を旅する話。教子は旅先で触れるものや朧との性交を通して、宗教、神、祈りについて思索を深めていく。「月の光」は、赤羽が風俗嬢の百合香を宇川にあてがう話。性交を終えた宇川が、狂気と言えるほど百合香への思いを募らせる部分がかなり面白い。
今後、朧はおそらく独自の「神」の概念を打ち出し、赤ん坊の「無」を中心とした教団を作るのではないかな。続きが気になる。

汀にて 王国記III (文春文庫)

汀にて 王国記III (文春文庫)