深作欣二『バトル・ロワイアル』
鑑賞。監督は深作欣二。出演は藤原竜也、前田亜季、山本太郎、栗山千明、柴咲コウ、安藤政信、ビートたけし。原作は高見広春。
新世紀に入り日本の失業率は悪化、不登校生徒も増え、大人たちは自信をなくしていた。その自信を取り戻すため、BR法が可決された。毎年全国の中学3年生から1クラスだけ選び、最後の一人になるまでクラスメイト同士殺し合いをさせるというものである。今年は七原秋也(藤原竜也)や中川典子(前田亜季)のいるクラスが選ばれた。3日間のバトル・ロワイアルが幕を開ける…
私が原作を読んだのは高校3年の頃だから、今から6年前になる。分厚い本だったが、一晩で読みきった。一人一人をキッチリ書き込んでいたため、物語世界にどっぷり浸ることが出来た。小説に対する思い入れがそれだけ強かったため、その後映画化されても観ようとしなかった。いつまでも意地を張ってても仕方ないので、とりあえず観ることにした。
あれだけ豊穣な原作を2時間弱の映画に押し込めたことで情報量が減るのは当然としても、散漫な印象が強い。描き足りてない。原作からもっと逸脱して、七原たちに焦点を絞った方がよかったと思う。無理してみんなを描こうとするから、一人一人が薄くなってる。
大人が自信を取り戻すためにバトル・ロワイアルを実施する、という設定も説得力に欠ける。原作では全体主義国家・日本が体制を維持するためのシステムとして「バトル・ロワイアル」を実施していた。その反政府的な部分を消してしまったことが、非常に残念だ。
- 出版社/メーカー: 東映ビデオ
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