ベルリンの至宝展

友人に誘われて、上野の東京国立博物館で開催中の「ベルリンの至宝展」に行ってきました。美術展に行ったことが一度もない私ですが、美術に興味を持つ友人の影響や、「松岡正剛の千夜千冊」を始めとする諸々の文章の影響で、絵画や建築を生で見たいと思うようになっていました。
いやぁ〜、とても新鮮で刺激的でした。全く休むことなく、説明文を全文読み、全展示物をじっくり眺めていたら4時間経っていて、かなり疲れました。いい集中力でしたわ。気になった作品についてチョコチョコッとコメントしていきましょうかね。
まずエジプト美術。エジプトの神々は頭が動物・体が人間というパターンが多く、非常に神秘的です。ただ、友人も言っていたのですが、エジプトで発掘された物がベルリンにあるということに、「収奪」の二文字を想起しますね。
ギリシャ・ローマ美術もとても印象的でした。神話がモチーフになっている作品が多く、よく知っている名前や聞き覚えのある名前に興奮しました。「キュベレーに捧げられた奉納浮彫」のキュベレーは、『Zガンダム』でハマーン・カーンが乗るモビルスーツですし、「ウルカヌス」はコンドリーザ・ライスを始めとするブッシュ政権の外交チームの名前です。ギリシアローマ神話は、教養としてもっともっと知っておいた方が良さそうですね。物語を分析するのにも役立ちますし。「ペルガモンの美しい頭部」の恍惚とした表情や、「カラカラ帝の胸像」の眉根を寄せた険しい表情も印象的でした。
ビザンチン美術に関しては、「あれれ、あまりお上手に見えないな」というのが率直な感想。その中で「聖アグネス」という彫刻からは、オーラのようなものを感じましたね。
ヨーロッパ古典絵画には、ただただ息を呑むばかりでした。ボッティチェリの「ヴィーナス」、レンブラントの「天使と格闘するヤコブ」を始め、「聖セバスティアヌス」「ヴィーナスとアモル」「ヴィーナスの化粧」「名声の寓意に扮した王子ヘンリク・ルボミルスキの肖像」などを鑑賞していると、絵画を生で見ることの意義を実感しました。背景には奥行きを感じ、人物には迫り出してくるような迫力があります。色の鮮やかさ、肌の滑らかさ、布の質感など、本当に「美」と呼ぶに相応しい。
ヨーロッパ近代美術も、とてもよかった。カール・フリードリヒ・シンケルやカスパー・ダーフィト・フリードリヒの絵からは孤独や荒廃した感じが滲み出ているのだが、そこに描き込まれた光から、憧憬や希望も感じられるのですよ。
神話や宗教をモチーフとした作品をたくさん飾り、最後にニーチェ肖像画を持ってくる辺りがにくいですね。
その後、友人のお宅に。持参した日本酒を飲みながら、サッカーを見る。試合は小笠原のゴールで日本がバーレーンを下した。私たちは酔っ払って、試合が終わる頃には寝ていたようです。こんなに何も考えずに過ごしたのは久しぶりでした。ここ最近は何をやっていても、インプットすることや考えることを止めてなかったですから。モノマネも連発できたし、いい気分転換になりました。