『果実』
「檸檬」で始まり「蜜柑」で終わるアンソロジー。それぞれの感想を手短に一言ずつ。
- 梶井基次郎「檸檬」…何か物足りない。
- 宮本百合子「杏の若葉」…果実が物語において決定的な役割を果たしていると言えず、このアンソロジーに収録されていることが不可解。
- 太宰治「桜桃」…恐らく私小説。何歳になっても、太宰を読むと「俺もそうだよ」と思わされる。この辺が、いつまでも人気を維持し続ける理由ですな。一人称と三人称が混在しているのは何故かしら。
- 有島武郎「一房の葡萄」…これぞ白樺派、って感じの短篇。小学校の道徳の教科書に向いてる。嫌いじゃないけどね。
- 小山内薫「梨の実」…見事な奇術。タネを知りたい。
- 宮沢賢治「葡萄水」…自然と対話してる感じが賢治らしい。
- 林芙美子「柿の実」…切ないね。
- 芥川龍之介「蜜柑」…久々に読んだけど、何度読んでも主人公同様「ある得体の知れないほがらかな心もちが湧き上がって来る」いい作品。8編の中では一番好き。
- 作者: 梶井基次郎、太宰治他
- 出版社/メーカー: SDP
- 発売日: 2009/07/27
- メディア: 文庫
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