『果実』

檸檬」で始まり「蜜柑」で終わるアンソロジー。それぞれの感想を手短に一言ずつ。

  • 梶井基次郎檸檬」…何か物足りない。
  • 宮本百合子「杏の若葉」…果実が物語において決定的な役割を果たしていると言えず、このアンソロジーに収録されていることが不可解。
  • 太宰治「桜桃」…恐らく私小説。何歳になっても、太宰を読むと「俺もそうだよ」と思わされる。この辺が、いつまでも人気を維持し続ける理由ですな。一人称と三人称が混在しているのは何故かしら。
  • 有島武郎一房の葡萄」…これぞ白樺派、って感じの短篇。小学校の道徳の教科書に向いてる。嫌いじゃないけどね。
  • 小山内薫「梨の実」…見事な奇術。タネを知りたい。
  • 宮沢賢治「葡萄水」…自然と対話してる感じが賢治らしい。
  • 林芙美子「柿の実」…切ないね。
  • 芥川龍之介「蜜柑」…久々に読んだけど、何度読んでも主人公同様「ある得体の知れないほがらかな心もちが湧き上がって来る」いい作品。8編の中では一番好き。

果実(SDP Bunko)

果実(SDP Bunko)