ナチスのプロパガンダ映画、『意志の勝利』を見てきた

1934年にニュルンベルクで行われた、ナチスの党大会の記録映画。監督はベルリン五輪の記録映画『オリンピア』で有名なレニ・リーフェンシュタールドイツ国内では現在も一般上映が禁じられていて、日本では何と67年ぶりの公開とのこと。
党大会の映画だけあって、内容としてはほとんどが演説とパレード。俺の右隣りに座ってたおじさんは、いびきかいて寝てたよ。
圧倒されたのが、市民や党員による「ハイル」の大合唱。小学生なんかが「この問題、分かる人!」と先生に聞かれ、「はい!はい!」と身を乗り出して右手を挙げるように、ヒトラーに対して叫ぶ。ホント、大音量が体に響いてくるのだ。どれだけお前らヒトラーが好きなんだよ、と思うわけです。
逆に突撃隊・親衛隊集会は、静謐なヒンデンブルクの追悼から始まる。整然と並ぶ何万人もの党員に、またまた圧倒される。
肝心のヒトラーだが、演説でのし上がっただけあって、言葉のチョイス、声の調子、身振り、間が巧みだった。また画面上のヒトラーは非常にキマっていて、リーフェンシュタールが「いかにヒトラーをカッコよく見せるか」に心血を注いで構図を決めたのかが分かる。
一つにまとまることを促す指導者と、一つの方向しか見えない大衆。そこには異質なものを徹底的に排除しようとする、危険な団結があった。それがどんな悲劇を生んだか、我々は知っている。メディアがもたらす高揚感に惑わされず、冷静な判断が出来る自分でありたいと思うどーかくであった。
あと、記念にパンフレット買いました。見にいってよかったです。



ナチスの女たち―秘められた愛イー・イー・イー
ナチスの女たち−秘められた愛』(アンナ・マリア・ジークムント)
『イー・イー・イー』(タオ・リン著、山崎まどか訳)
ナチスの女たち』は、劇場から少し離れた本屋に積まれていたので、ナイスタイミング!と思って買いました。