俺の編集スタイル

上層部は「お前がリーダーシップを取って、お前の好きなように本を作れ」と言うが、俺はそうしない。
様々な理由が挙げられるが、まず経験と知識が圧倒的に不足していることが一つ。いつの間にか編集長的ポジションに納まり2年間難局を乗り切ってきたが、それも全て経験豊富な製作現場陣のおかげ。以前は「現場が俺の言うことを聞かない」と思うことも間々あったが、今になってみればベテランである彼らの言い分が正しかったと分かる。
性格的な理由もある。俺は「和を以って貴しとなす」を地でいく人間であり(だからこそ「顰蹙こそ文学だ」というテーゼや、常識を根底から覆そうとする哲学・思想に惹かれる)調整型の人間だ。政治家で例えれば小泉ではなく森。手持ちの駒を徐々に増やし、如何に配置し、如何に有効活用するかに真骨頂がある。
また、「集合知」の可能性を強く信じているというのも大きい。大学4年から働き始めるまでインターネットばかりやっていたから、「はてな」「wikipedia」「リナックス」の考え方にかなり影響されたように思う。
とは言っても、船頭が多くて船が山に登っても困るし、みんなの意見を継ぎ接ぎしただけでは魅力的な誌面にもならんだろう。要は俺がしっかりしたコンセプトを持ち、みんなの意見をフィルタリングすることが大事になってくるわけだ。
と、ブログを使って考えをまとめてみた。前任者がいないポジションのため、独力で道を切り拓かなければならないのが辛い。
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