『千の風になって』

今日は気分を変えて詩集を。
以下の3冊は、昨年10月10日に亡くなった親戚の本。形見分けということで頂いてきたのだ。*1
まずは『千の風になって』。作者不明の12行の英語詩を、新井満氏が訳したもの。前半はカラー写真と日本語訳、後半は出版に至る経緯を綴ったエッセイという構成になっている。どのような詩かというと…

私はたしかに死にました。けれど、人間以外の命に生まれ変わって、今もしっかりと生きているんです。だから心配しないでください。私のお墓の前でそんなに嘆き悲しまないでください……
(P.49〜P.50)

上記は詩の本文ではなく、エッセイ中にある新井氏の解釈である。
欧米ではかなり有名な詩らしく、ハワード・ホークスの葬儀、マリリン・モンローの25回忌、9・11の一周忌などで朗読されたらしい。
新井氏は「人間以外の命に生まれ変わ」ることが表現されているあたりに、「アニミズム」の匂いを嗅ぎ取っている。そうしたことから、「ネイティブ・アメリカンの誰かが書いた」と作者を推測している。続いて、「ネイティブ・アメリカンの誰か」が詩を著すに至った経緯を想像しているのだが、この掌編が『セカチュー』(原作の方)に似ている。
ただ「似ている」では面白くないので、ちょいと共通項をまとめてみると、

  • 先住民のフォークロアが基盤
  • 若いカップルのうち、女性が病気で亡くなる
  • 男は愛する者の死をなかなか受け入れられない

愛する者の死を受け入れる、その悲しみを乗り越える、といったお話が最近はヒットしているのかな。まあ、最近に限った話ではないか。

千の風になって

千の風になって

*1:詳しくは2005年12月11日の日記をどうぞ。