佐藤郁哉『フィールドワーク』

フィールドワークについての入門書。物足りなかった、というのが正直な感想。似たような記述が何度も出てくるし、具体例も乏しい。
本書で著者は、アンケート調査を始めとするサーベイが「客観的」で「科学的」であり、それに対してフィールドワークが「主観的」で「非科学的」であるというイメージは誤解であると強調する。サーベイは調査対象の数が多く数字に基づいているのに対し、フィールドワークは調査対象の数が限られていて、しかもフィールドワーカーの体験に基づいていることから、そのような誤解が生まれる。しかし、数字に基づいているからと言って100%客観的とは言えない。アンケート調査や世論調査にも調査者の主観は紛れ込んでいる。サーベイとフィールドワークを対立させるのではなく、様々な技法を状況によって使い分けることが重要なのである。