戦艦大和ノ最期

吉田満著書 乗組員救助の記述 戦艦大和の最期 残虐さ独り歩き

戦艦大和の沈没の様子を克明に記したとして新聞記事に引用されることの多い戦記文学『戦艦大和ノ最期』(吉田満著)の中で、救助艇の船べりをつかんだ大和の乗組員らの手首を軍刀で斬(き)ったと書かれた当時の指揮官が産経新聞の取材に応じ、「事実無根だ」と証言した。手首斬りの記述は朝日新聞一面コラム「天声人語」でも紹介され、軍隊の残虐性を示す事実として“独り歩き”しているが、指揮官は「海軍全体の名誉のためにも誤解を解きたい」と訴えている。(産経新聞

私が『戦艦大和ノ最期』を読んだのは昨年のことです。文語体で綴られた緊迫感溢れる文章で、自分の死に意味を持たせようと議論する士官たちなどには胸を打たれました。吉田満が自らの体験を、敗戦直後にたった一日で書き上げたという評判ですが、誇張や多少の作り話はあるでしょうね。
問題となっているのは、大和沈没後、満杯となった救助艇の指揮官らが、なおも船べりを掴もうとする漂流者の手首を軍刀で斬りおとす箇所。救助艇の指揮官を務めた松井一彦さんは、以下の3つの理由から事実無根であると主張しています。
(1)海軍士官が軍刀を常時携行することはなく、まして救助艇には持ち込まない
(2)救助艇は狭くてバランスが悪い上、重油で滑りやすく、軍刀などは扱えない
(3)救助時には敵機の再攻撃もなく、漂流者が先を争って助けを求める状況ではなかった
まぁ、産経と朝日の喧嘩ですね…