橋爪大三郎『はじめての構造主義』

はじめての構造主義 (講談社現代新書)

はじめての構造主義 (講談社現代新書)

ポストモダンの次は、構造主義
『はじめての〜』というタイトル通り、「ちょっと進んだ高校生」や「かなりおませな中学生」に読まれるよう書いてある。
最近は読みやすい入門書ばかり読んでいるが、まあ、ステップを踏んでいるのですよ。
本書は、構造主義の旗頭であるレヴィ=ストロースに焦点を当てている。
人類学者であったレヴィ=ストロースは、ソシュール言語学とモースの「贈与論」にヒントを得て、『親族の基本構造』を著す。そこでレヴィ=ストロースは、従来の人類学者が解明できなかった秩序を発見する。
親族とは、婚姻によって女性を交換するシステムである、というものだ。
つまり未開社会における結婚は、ある集団から別の集団に女性を贈与することである、と。しかし贈与してばかりだと女性がいなくなるから、また別の集団から女性を贈ってもらう(女性の贈与とは言っても、すべて結婚して嫁ぐことね)。
以前このシステムを知ったとき、私はけっこう驚いた。
「女性を交換する」という表現が異様に映ったのもあるが、それ以上に、現代社会にも十分通用すると思えたからだ。なるほど、こういう視点で社会を見るのか、とね。
レヴィ=ストロースはその後、神話研究に没頭する。この神話学の方法は難しいらしく、後継者がいないようだ。
本書では他にも、構造主義のルーツと思われる数学や遠近法を簡単に紹介している。
簡単とは言っても、「射影幾何学」だの「同型写像」だのは初耳。
数学は苦手なのだが、思想系の本を読めば読むほど、「数学にも手を出さないとなあ」と思う。